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直使い鉋の安兵衛

安兵衛さんの所では、普通の鉋は作っておられず、五徳、際、脇取りや底取りなどの溝鉋など特殊な形のものを手作業で作っておられます。

研ぎ仕込みはすべて終わらせ、直ぐ使いの状態で出されている。鉋って、専用に作った鑿などがあれば作れる物なのです。先人たちの時代には大工道具を作るための機械は無かったのです。普通の手工具を用意すれば作れるような形状になっているのです。


直ぐ使い鉋

直ぐ使いとは研ぎ硬さの調整、鉋台の下端調整まで終わられ、届いたその場から使える状態の品物を言います。
自分に鉋の台打ちを教えた方も直ぐ使いが得意な大工道具屋さんだたので、今回の訪問の中では一番行きたかった所でもあります。
鍛冶屋から持ち込まれた鉋は一丁、一丁微妙に違いますので、それに合せて裏押しをして鉋台の直ぐ使いの準備をします。
鎬側は実際台に仕込、刃が鉋台の下端から覗いてから下端に合せて刃先を研ぎ会わせます、品物によっては7〜8回も研いでは下端に合わせる事を行うそうです。
頻繁に研ぐので、その砥石類は手元に置いてあります。顔は写っていませんが、とても話しやすい方ですよ。

直ぐ使いに鉋を仕込む安兵衛さん

金盤の修正

安兵衛さんに尋ねてみた、鉋の裏押しは砥石ですか?金盤ですか?と、すると金盤を見せてくれました。
そして最初はこのくらいの厚みがあったんだよと、指で厚みを示してくれた、その厚みは6センチほど、、、、、え!! 減ったんですか? 
安兵衛さんはそうと答えた、でも金盤は真っ直ぐしているので、どうやって修正ているのかと聞くと、ヤスリを取り出して実演してくれた、なるほど真っ直ぐなヤスリなら高い所だけ削って修正できるのだ。それでここまで減ってきた訳だ。
傷は入るが、ヤスリで擦った後に少し砥石で擦ってやると、問題ないくらいまで傷は減るはずである、今度鉋の裏押しを金盤でやる時は試してみようと思っている。


製作途中の鉋

手元に置かれていた鉋台の製作途中の品物で、底取りに脇取りの左右と豆際鉋などが置かれている。
左にある性製作途中の底取り鉋を見ても分るように、ドリルで穴を開けて、あとは手で掘って製作していくのである。
ここに一月ほど通ったら自分もこんな特殊鉋も手打ちで製作出来るようになるかなと思った。
現在こんな特殊な鉋を製作できる方も少なくなっている、しかも後継者もほとんどいないので覚えるなら今のうちなのだが、私は九州にいるのだから通って習うわけにもいかない。
まだまだ、安兵衛さんは元気なので大丈夫、本来こんな職人さんをマイスターとして行政もバックアップするべきなのだ。
探せばこんな特殊鉋の台屋をやりたいと言う人材もいるのではと思います、そんな人を行政も育てる環境を作ってほしいものです。


作りかけの五徳鉋

これは荒作りされた五徳鉋の台の部分で、かなりの数作り置きしてあります、五徳鉋の台の両脇は大きく落としTの断面の形にします。
大きく欠き取った分は内部の水分も抜けるし、応力変化で台が動いたりするので、ここまでで作業を止めて作りかけにしておくのです。
この一手間が良い大工道具を作る事につながるのだと思います、そして少し寝かせれば台の動きも止まり、狂いにくい直ぐ使いの五徳鉋に仕上がります。


際鉋の墨付け

わたしも鉋の台打ちはしますが際鉋は打った事がありません、それはと言うと際鉋の墨付けは見たり聞いたりしただけでは分らないのです。
それと計算や治具なのでは割り出せない、勘所というのがあるのです、刃の角度、台の厚みなどから位置を勘で割り出すところがあるそうなのです。
大工さんが家を建てる時も墨付けに勘所があると思います、それと同じで状況をい見極めて決める位置があるのです。
見ていると手早く位置決めをしていきます、何日か通えば少しは覚えられそうでした。

際鉋の墨付けをしているところ

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