鉋の調整
鉋を使う上で上手く削れない、上手く仕上がらない時の改善のヒントにしてください。ちょっとした事で劇的に改善したりします。
動画で調整を説明するページ
一直線の狭い鉋の刃口を口切鑿の販売ページで、調整する方法を動画を含めて説明
立鉋ではできない内丸鉋の調整を紹介、身近なものを使いRの曲面の台を理論的、効率的に行う調整方法
仕込みが緩い時
- 少し叩いただけで刃が出過ぎる時や、削ると鉋がガタガタとなり材料の表面が波打つ場合があります。
- そんな時考えられる原因は仕込みが緩くなっている可能性です。
- 改善方法はパテなどをあて仕込み硬さを戻す方法です。
- 緩い問題は多くの方から対処方法の問い合わせが有ります。
- 以前はハガキなどを敷くなどの方法がありましが、現在はもっと良い調整方法がありますので紹介します。
- この方法は短時間で作業が終わりますので、思い立ったときに仕込みが直せます。
- 緩い仕込みになっっている場合、鉋の裏押しが原因で厚みが薄くなり、刃先の厚みが薄くなた刃は差し込むと仕込勾配が立った状態になりやすく鉋の引きも重くなってしまいます、緩いと多くの問題が出てきます。
脚付けをする
- まずパテが剥がれにくくするためパテを塗る部分をヤスリの角などで削ります。
- この表馴染みの部分は鑿で削ったりしてツルツルになっている場合があり、パテを塗っても削る時に剥がれる事があり脚付けが必要なのです。
- まず荒めの平ヤスリなどの先をグラインダーなどで直角に削り落としたものなどを使い、表馴染み面を強めに全体を削り脚付けを行い表面を調整します。
- 鉋の台が油台などの場合、油分で脚付けが弱くなりますのでご注意下さい。
- 細工用のヤスリセットに入っている平は厚みも薄く、サイズの小さい鉋の溝の中にも入っていきますので便利です、画像で使用しているヤスリも細工用の平です。
パテを塗る
- 使っているのは車両の補修に使うHoltsのバンパーパテを使います(白色)。カー用品店で販売されています。
- このパテは鉋刃を出す時の調整が紙を貼った時と比べると、このパテを塗った時の方が紙の弾力がないため、叩いた時の感触が伝わりやすく、違和感なく鉋の刃の出し加減が調整できるのです。
- パテに硬化剤を同量出して付属のヘラで混ぜます。表馴染み面に均一に塗ります。
- 押さえれば薄く塗れますし、軽く押さえれば厚く塗れますので力を加減してください。説明書では硬化時間は30分ですが、塗る面積が狭いので短時間で作業は終わります。
- 硬化した跡でも表面に若干の弾力があります。パテが硬化したかは、残っているパテを削ってみると判断がつきます。
- はみ出たパテはふき取っておきましょう。作業前にマスキングテープを貼るのも良いでしょう。
削って硬さを調整
- この工程は新品の鉋を買った時と同じように表馴染みを削り硬さを調整するのと同じです。鉋刃の表の部分に油や鉛筆を擦りつけます。(今回は鉛筆でやってみました)。
- パテの部分は真っ白にな状態で鉋を差し込見叩きこむと、当たった部分の鉛筆が移り黒くなります。その部分を脚付けに使ったヤスリで削ります、他のスクレイパーなどでも問題ありません。
- 最初の当たりはすくないですが、削って調整のため削ると黒く当たった部分が広くなっていきます。
- もし厚みが薄いと感じたり、削り過ぎたら、表面を一削りして薄い部分にもう一度塗ってください。どこを強く当てるかは、画像で言うと丁度ヤスリで削っている表馴染みの先の方で中央部分。
- 逆に当てないのは、表馴染みの左右の先の部分で、赤い点線の三角の部分ここが強く当たるとこの反対側にヒビが入りますので注意して下さい。
押さえ棒調整
- 鉋の裏金を固定する金属の棒が押さえ棒で圧着力を利用して鉋刃裏先と裏金裏先を密着させ、鉋の刃先と裏金の先の隙間の距離を固定する部品です。
- 押さえ棒の穴を開ける位置はとても微妙で、ある程度の誤差が生じる場合があります、鉋刃と平行でない場合は片利きの状態になります、片利きは裏金を叩いた時に斜めに入り、刃先同士が揃わず削った時に逆目が止まらない状態になります。片利きを確実に直すのは押さえ棒を削ることが一番です。
- 押さえ棒は裏金の作りや台屋さんの棒の開け方によっては硬めに入れたりします、硬めに入った棒の場合、耳を伸ばしたりすれば良いのですが、耳を叩けない場合や、耳を叩き伸ばしても硬い場合は押さえ棒の方を削って調整します。
- 小鉋の場合は特に裏金の弾力性、押さえ棒の弾力性が通常サイズの鉋よりも少なく、裏金の利き具合は硬い場合(調整許容)範囲が狭いのです。
- 押さえ棒が緩めの場合は、耳を立てたり、押さえ棒の中ほどを叩いたりして調整でき容易と言えます。
- このページでは、その押さえ棒の調整法の一つでヤスリで削る方法を書きます。
- 押さえ棒は削って失敗しても交換する事ができる部品です。少しづつ削ってベストな硬さを決定します。
見極め
- 押さえ棒は裏金を締めこむと真っ直ぐか、ある程度両端が押されて若干真ん中が膨らみます。
- 裏金を叩いても、なかなか刃先同士が揃わない時も硬すぎると言えます。
- 見た目で見極めできるのは、鉋刃と裏金の刃先がきつく叩いてようやく揃い、鉋の下端から刃先を浅い角度で見た時に刃先が押されて歪んで見えますのでそんな時は完全に硬すぎる状態です。
- その時の解決方法は押さえ棒の当たっている矢印部分を削れば良いのです。
ユニクロムメッキの押さえ棒
- ユニクロムメッキ(金色は)押さえ棒を抜いてみるときつく当たっている部分が摩擦で擦れていますので目で確認できます。
- 裏金の幅に擦れていますので、ヤスリで擦る位置の目安になります。クロムメッキ(銀色のメッキ)の場合は色の変化が見えませんので、反り具合を覚えておき削ります
調整法
- ヤスリを使い当たりが強い所を少しづつ擦っては台に差込み、実際に鉋刃と裏金を差込み、利き具合を調整してください。
- ヤスリをかける時は丸い物を擦りますので、万力に挟まないと擦る事は難しい。バイスグリップなどで挟み、それを左手に持ち、右側を適当(穴を開けた木に通してその木を固定)に固定させて擦ります。
- 鉋の調整や台打ちに万力は便利です、ある程度大きい物をお勧めします。
- ヤスリは平ヤスリを使用、又は半丸の平たい方を使用します。
擦り込みの例
- 画像はです、この場合はおくの方が擦ってあります。裏金の利き方によっては、擦る面積、場所も違いますのでご注意下さい。
- もし、擦り過ぎてゆるくなったら棒を交換しましょう、棒は用意しております。鉋の押さえ棒穴が硬い場合もはほんの少し両端を擦って見てください、硬さがゆるくなります。
差し込み
- 台に差し込んだら、裏金と擦った分が当たるように、ペンチなどで押さえ棒を回し、ピッタリ合う角度を探して調整します。