鉋の刃口仕上げ
鉋台の刃口は木の逆目を止める上で非常に大事な部分です、狭ければ狭いほど逆目は止まりますが、限界を超えたり、木っ端返しの仕上げが粗いと鉋屑が詰まって削れなくなります。
鉋裏金との兼ね合いもあり、鉋台の刃口角からコッパ返しにつながる角度とその面はできるだけ丁寧に仕上げます。
裏金をギリギリまで締めこんだ場合は口の部分をスムーズに鉋屑が抜けきらず、鉋台が新しいうちは屑が詰まる原因の一つになります 。
ここでは専用の口切鑿を使った鉋の刃口の切り方や、その部分のスムーズなサンドペーパーを使ったスムーズな刃口仕上げ方を書いてみます。
口切鑿で鉋の刃口を仕上げる
- 鉋台を仕込む時に最終段階に近づいて来ると、鉋台の刃口部分を鑿を使い余分なコッパ返しの部分を削り仕上げます 。
- コッパ返しと刃の間が狭いほど逆目は止まりますので、できるだけ小さく開けようとします(裏金も逆目を止める役目をします) 。
- コッパ返しの鉋台下端に極近い部分が綺麗に仕上がっていないと、鉋屑は詰まりやすくなります。
- このコッパ返しは鉋台が新品の場合、刃とコッパ返しの隙間を薄い鑿を使い下記画像のように小さく開けます
治具を作る
- 更に正確に鑿を使い口を切る場合は、下記の画像のようにコッパ返しの角度に合った治具を スライド丸鋸などで作りFクランプでしっかり固定します。
- 木工万力があると安定して鉋台を固定できますので、硬い木もノミで差しやすくなります 。
鑿の使い方
- 鑿の角を使い少しづつ差します、削る幅は3mm程度で良いです、(赤い矢印) 。
- 一度に広くノミで削るより軽く差せます。
- 硬い樫の木でも楽にノミが進みます 。
- ノミは角が大事です、角までしっかり研ぎましょう。
- 黄色い矢印の部分は後で取っても良いです 、最後に画像のように横からでなく縦から角だけ突けば良いです。
刃口の仕上がりの画像
- 鉋刃先と刃口角まで1ミリ足らずに写っていますが、実際はまだ刃先は台から出ていませんので刃口はまだ狭いです 。
- 裏金が少し鉋刃の耳の部分から見えています 、このくらいの方が裏金の締まり具合が刃口からも見やすく鉋刃先を研ぎ、刃先が減っていくと、鉋裏が切れるころに鉋刃の刃先巾とちょうど裏金の巾が揃います。
サンドペーパーで仕上げ
更に綺麗に仕上げたい場合や、薄い口切鑿が7ない場合、又、一枚台の木っ端返しの仕上げには、サンドペーパーによる仕上げが効果的です。
1枚台
- 一枚台の場合は、刃の仕込み角度と鉋台のコッパ返しの角度が近く、木っ端返しの角度は45度ほどです。
- コッパ返しと鉋の刃口が綺麗に仕上がっていないと、鉋屑が刃口からコッパ返しと鉋裏の間を滑りあがってきません、微妙な乱れも一枚台の場合は屑の詰まる原因になります
。
- 1枚台の場合は鉋裏を少なく付けますが、細い糸裏にすると直ぐ裏切れして裏押ししなければならず手間のかかる鉋でもあります。
- 一枚台の鉋を仕込む時、屑が詰まるからとコッパ返しを鑿で削って口を広げた方がおられると思います 、1枚台2枚台にしろ詰まるからと鑿で削る前に、サンドペーパーを使った方法でスムーズに屑が排出するように仕上げ屑詰まりを緩和してください。
- 下記のように歪みの無いベニヤ板を、鉋台の屑溜まり幅に切り出します 。
- 鋸でもいいのですがこのくらいならカッターナイフでも切れます。
- 軽く切って何回か繰り返すと楽に切れます、長さは10センチもあれば良いでしょう
- 粘着材の付いたロールタイプのサンドペーパーを切り出したベニヤに貼ります 。
- 粘着材付きが無い場合は厚みのない両面テープをベニヤ板全面に貼り付けて、普通のサンドペーパーを貼ります 。
- 板とサンドペーパーが浮かなければ良いのです 、しわになったり浮いたりしますと鉋台の口に歪が出ます。
- サンドペーパーの粒度は240番ぐらいが良いでしょう 。
- サンドペーパーの表面には脱落しやすい粒子が付いていますので、一度木片を当てて脱落しやすい粒子を擦り落としてくださ い。
- 180番しか無い場合は、十分に擦り落として使ってください。。
- 準備ができたら、鑿でできるだけ綺麗に仕上げたコッパ返しに、この板を木っ端返しの角度に合わせて、ゆっくり擦って刃口を仕上げます。
- ベニヤ板は硬くてサンドペーパーは板に密着しています 、鉋台のコッパ返しの凸のある部分に先に擦り板が当たりその部分を削ってくれます 。
- 仕上がった後は脱落した粒子などが刃口や鉋台に付着していますので、エアダスターなどで取り去ってください 。