久しぶりに鉋の使い手として参加した、第22回削ろう会与板大会(全国大会)のレポートです。最近の削ろう会には大工道具の販売をするための参加が多く、なかなか薄削りを行えませんでしたが今回は久々に鉋の薄削りを楽しんで来ました。西の果ての長崎県からの参加ですが毎回全国大会には顔を出していますので遠くても苦にはなりません。
よく言われるんですよ、遠くから大変ですねって。でも自分は大変とは思っていないのです、それは大工道具が好きだからで特に鉋の奥の深さに魅せられているからでしょう。最初の全国大会への参加が第八回与板大会からでしたから参加し始めて早7年になります。第16回の香川の坂出大会からは大工道具の販売の方にまわっていましたから、大工道具の販売無しの削ろう会は久々に使い手として削りを思い切って楽しめました。今回は大工道具産地の新潟県は与板の開催で、三条にも近く当方の問屋さんもあり前日から新潟入りしていました。そんな私の参加レポートです。
名古屋までなら夜行バスもあるのですが、それより東になるとどうしても飛行機を使わなくてはなりません。 旅費もかかりますし、時間もかかります。使用する鉋や大工道具は先に会場に送りますので数日前の発送になり、研ぎの時間など余裕を持つ必要があります。
朝6時に家を出てJRで博多まで、地下鉄で空港まで行き、ANAで羽田まで。羽田からはリムジンバスで東京駅八重洲口まで。ただ、ここから新幹線ホームまではけっこう歩きます。三条に到着したのが3時頃、JRの駅レンタカーを予約していたので三条の町は車でまわりました。ご存知無い方もおられると思いますが、レンタカープランを組むとJRの割引が受けられます。三条東京往復の新幹線の割引ですから使う方が断然徳です。
しかしカーナビはいつも使っているとは言えメーカーが変わると操作が変わり、大工道具の問屋さんへ挨拶に行く際に道を曲がるタイミングを間違えても再検索してくれず参りました。問屋さんとは遠方なのでこの機会を逃すと挨拶もできませんので良い機会に行く事ができました。
今回見たかったのは鉋の台屋さんです。使い込まれた機械は錆など無く油が染み込み黒く光っていました。自分も台打ちができるとは言え、鉋の台屋さんが話す一言一言は真剣に仕事に打ち込む言葉で、大変参考になりました。
当曼陀羅屋で販売している口切鑿や、包みを削るコテ鑿を使って頂いているのは嬉しかったですね。台打ちに使っておられる玄能の大きさと柄の長さ、角度は、効率良く疲れないようにと考えたどり着いた形だと言う事が伺えました。
いつもなら販売する側に立っているのですが、今回は久々の削る側でお客さん気分でゆっくり他の店の商品を見て回りました。
道具屋さん、砥石屋さん、鍛冶屋さんなどそれぞれに特化しており、それぞれのブースで特色があります。同じ用に見える店でも取り扱う銘柄が違いますので、見比べるのも面白いでしょう。
画像は初日の会場の様子で二階の大工道具の販売と下の削りの会場の様子です。
色々な疑問など直接聞く事もできる絶好のチャンスでしょう。その他、他では手に入らない道具や、限定品もありお財布には余裕が大事です。売る側の私でさえ買ってしまうものもあります。
大会は二日間行われます、メインの鉋薄削りは二日目です初日の土曜はその大会ごとにテーマが設けられています。今回は技能の伝承で、大工道具に関する技術的な実演、講習や、指導が受けられます産地だけあり、その道のプロに教わる事ができる絶好のチャンスです。分からない事はいくらでも聞けます土曜午後から夕方までで、時間はたっぷりあります。こんな機会は無いと思いますよ、削ろう会は削るだけではないのです、使う技術も教えてくれるのです。ちなみに無料!!
下記の画像は鍛冶屋さんが作った鉋の刃の裏をたたき出す作業の鉋の上げうらの体験コーナーです。叩き出しの作業で割った方もけっこうおられると思います、そんな方にはこのコーナーが良いでしょう、手に取って教えてもらえます。
外の一角では鍛冶屋の町ならではのコーナーがありました。刃物を作る炉を用意して来場者に刃物を実際に作る火造り体験をさせてもらえるコーナーです。
道具や炉、材料は揃えてあります、プロの鍛冶屋さんが横につて指導してくれます。鉄を赤めて叩きながら形作る刃物作りにはまってしまいそうです。ちょっと鍛冶屋さんになった気分。
こちらは昔の鋼を造る実演のコーナーです。耐火煉瓦で炉を造り、その炉で砂鉄から玉鋼を作り出すたたら製鉄です。実演しているのは長岡の大学の生徒さんだそうです。実際取り出した玉鋼はそれを使って大工道具を作り出すのかと思っていましたが、将来的にはその方向で考えているそうですが、まだそこまで至ってはいないそうです。
削り会場は町立の体育館で、削り会場横の部屋では会員のかたなら誰でも興味がある、台打ちの職人さんによる鉋仕込み実演が行われていました。私も仕込みはいつもやるのですが、本職の方の仕込むスピードに比べれば遅いでしょう。
鉋の刃を入れなければ見えない表馴染みを効率よく削らなければなりませんので、長年の経験がものを言います。ここでも皆さんなら色々な質問があるのではないでしょうか?実演を見る機会はなかなかありませんので、会場で仕込みの実演がある時は時間を作って見られてはいかがでしょうか。
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