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鉋を中高に研ぐ=ケチリンを取る
鉋巾より広い部分を削る場合は一度では削れませんので、二回三回とずらしながら削っていきます。その場合に刃先を真っ直ぐ研いだ鉋では、二回目との境に段差が起きやすくなります。
それを防ぐには刃先の左右の両端を多めに研いで中高に研ぐと、両端になるに従い鉋屑が薄く削れる様になり段差ができにくくなります。鉋の両端だけ多めに研ぐ事をケチリンを取ると言います。
ケチリンを取る方法は人それぞれですが、ここでは私流の研ぎ方で鉋の両端を研ぐケチリンの取り方を説明します。この方法は立鉋の刃の研ぎ方も同じですので応用してください。
下記の鉋屑を見ると端の方が薄くなっていて、ちぢれ気味になっている事が分かると思います。真っ直ぐに研いだ場合は両端がちぢれず真っ直ぐな線になります。
屑がこのようになると鉋まくらが現れず、ケチリンが取れている事が推察されます。この状態で右から左、もしくは左から右と鉋をずらしながら削ると境目には段差が起こりません。
柔らかい杉の板の屑が指が透けて見えています、薄く削れると言う事はそれだけ鋭利に研ぎ上げてあり、ケチリンの部分で削っても艶の境も現れません。
難しくない研ぎ
特殊な道具など必要なく砥石面の変更と手順を変えるだけです。
何度が研げば刃先の刃形も決まってきます。鉋の刃が研げる方なら難しくはありません。
広い板などを削る方には必要な技術です。
刃先を直線に研ぐ
- 使っている砥石は刃の黒幕の#2000番、まずは砥石を平らにして刃先を直線に研ぎます。
- 返りを出し過ぎると仕上げ研ぎの時に返りが外れにくくなりますので注意して下さい。
- 画像では一般的な研ぎととは違い90度刃を横にして研いでいますが、一般的な研ぎと同じに真っ直ぐ研いでも問題ありません。
専用の砥石面を作る
- 同じ黒幕の#2000を使います。
- 別にもう一本同じものを用意するか、先ほど使ったものの裏側を使い専用の砥石面を作ります。
- 一度平面にした砥石の真ん中に溝を作る様に、荒砥石(#220~#320など)のコバの細い面を使います。
- 真ん中を中心に両端に広げるよように擦ります。つまり、雨樋のようにくぼみを作り専用を用意します。
凹みの状態
- 画像の砥石は同じように真ん中を凹ませた砥石です。前の工程で凹ませた刃の黒幕#2000番も同じよう状態です。
- 定規を当てると凹んでいる事が確認できます。
- 普通大工さんが鉋で削る厚みは40ミクロンぐらいと言いますから、0.1ミリの半分ぐらいでしょうか。
- まあ、それよりやや多いくらいの凹の状態でいれば良いわけです。
ケチリン部分を研ぐ作業
- ここからがケチリンを取る作業です、人によっては左右と片方づつ研ぐ方もおられます。
- 私の場合は凹ませた砥石を使い左右同時に研ぎます。こうすると左右同じ回数で研げます。
- 一度に左右同時に研ぐので別々に研ぐより回数は半分で済みます。
- また、時々砥石を180度回転させ砥石の左右を入れ替えて研いでいくと、鉋の両側のケチリンの部分が左右対称に研げます。
- 画像の砥石の砥汁の状態を見ると凹んだ真ん中は研げずに両端だけが研げているのが分かります。黒い砥汁が出ている部分も同じ幅です。
ケチリンを取った状態
- 赤い矢印の範囲がケチリンが取れている部分です。
- 直線で研いだ分は横研ぎケチリンを取った部分は縦研ぎしていて鎬面の色が違いますので、確認はしやすいです。
- 鉋刃は寸六ですので直線の部分は狭く見えています。
- 下の画像は刃先の方に力を入れて研いだ場合で刃先に近い部分が多く研げています。
- 上は均等に研げていますが、どちらのようになってもかまいません。
ケチリンの仕上げ研ぎ
- 上記までの作業でケチリンが取れて中高に削れる刃先の形が出来ましたので次は仕上げ研ぎに移ります。
- ケチリンを取る作業の項目のように中心線付近を凹ませた砥石を用意しても良いのですが、中研ぎと同じ状態の凹を仕上げ砥石でもピッタリ同じにする事は難しいのです。
- そのような訳でケチリンの仕上げ研ぎでは、通常使っている平らな仕上砥石を使います。
- まず中心の直線部分を研ぎます、次に左右どちらかを先に研ぎ上げます。
- 最後に逆側を研ぎ刃先全体を研ぎ上げます。研ぎ方は同じで、研ぐ部分を分けて仕上げ研ぎをします。
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