常三郎、ハイス鉋、酒壺の販売
一般的な鉋は安来鋼の青紙1号ですが、この鉋は世界的鋼メーカーの日立金属製の粉末高速度鋼のHAPシリーズ鋼を使用。 青紙スーパー以上の強靭な耐久性から圧倒的な長切れを実現。1000尺以上の長切れテストは削ろう会のTOPの記録を有する。
又、強靭な耐久力は硬木や集成材など難材に適している。私も酒壺でウエンジ(鉄刀木に似た唐木)を削った時に、青紙系鋼の鉋に対し酒壺は圧倒的に切れる事を実感。(刃先角度は29度〜30度)
上記の事から集成材や硬木のフローリング材の削り合わせにも適しているので、酒壺を大工職の方が造作用に使う方も多い。
研ぎは熱に強い鋼材なのですからグラインダーで地金の透き取りをして研ぎの時間短縮しやすい。
酒壺は機械鉋のような裏出し不要と、通常の裏透きがある裏だし必要の、2つのタイプがありますが、常三郎の出荷でも裏出不要が90パーセント以上ですので、当店でも裏出し不要を在庫しています。
酒壺の販売商品
一般的な鉋と同じサイズ構成、ご自分のお好みでお選びください。
- 寸4(60mm) 37400円 在庫有
- 寸6(65mm) 37000円 旧値 在庫有
- 寸8(70mm) 38800円 在庫有
合板やフローリングの削り合わせなど造作作業に向く小鉋サイズ。
- 50mm 21600円 在庫有
- 55mm 28000円 在庫有
限定品
- 37mm 13750円 在庫有
- 43mm 13950円 在庫有
私のハイス鉋の酒壺の研ぎ方
- 酒壺を買ってみたが硬くて研ぎにくいと思われた方、酒壺(ハイス鉋)に向く砥石が分からない方はこの研ぎを試してみてください。
- それは他の鉋の研ぎにも役立ち、あなたの刃物の切れ味をワンランクUPさせる可能性があります。
- 杉の良い削りができない方や砥石や研ぎ方は同じです、そんな方もちょっと読んでください。
- 他の選択や個人の好みもありますが、ここでは私の常三郎の酒壺(ハイス鋼)を使った鉋を研いでみます。
酒壺の裏押し
- 酒壺の裏押し不要の場合、叩いて裏を出す必要はありませんが研ぎ上げる必要はあります。 ただ、新品の時の裏押しで刃先までがつかない時だけ軽くそこだけ叩いたりします。
- 新品の酒壺の場合は裏透きにあたる部分は、粗い透き目が入っており刃先から数mmは研ぎ上げてあるように見えますがまだ粗いと思います。
- 私の場合は焼結ダイヤモンド砥石、#1000>#3000>#6000まで使い研ぎます、それで十分仕上がります。焼結#6000の威力は下手な天然砥石より格上です。
- 上の画像で刃先から3色の縞に分かれている事が分かります。
- 1番奥番目の銀色の部分は最初から透き取って有る部分です。
- 2番目の縞の色は、焼結ダイヤモンド砥石#1000で研いだ色です。
- 3番目の刃先は鏡面になって黒く見えています、そして左側に指が映りこんでいます、#6000の焼結ダイヤモンド砥石で鏡面になっているからです。下研ぎは#3000です。
- これで杉のシラタが切れる裏が作れます。
- 裏透き部分に傷を漬けないためには、砥石が当たる部分にテープなどを貼ります。
酒壺を研ぐ手順
- まず、鎬面(研ぎ面)の先端から2mmぐらい残してグラインダーで間をすきとってしまいます。鎬の終わりも同じぐらい残すと良いでしょう。 刃先の角度は29度ぐらいが理想です、新品の時は浅い刃先角度かもしれませんので、研ぐ度ごとに徐々に理想の刃先角度に近づけます。研ぎに慣れた方なら透き取りはなくても良いです。
- すると、砥石にあたる部分がかなり減ります、刃先と刃先の反対側の鎬面しか砥石に当たらないので丸研ぎにはなりません。
- 中研ぎは刃の黒幕の2000番が良いでしょう、中砥石では高めの粒度ですが、キングデラックスなどよりはるかに高い研磨力と平面維持力、それと2000番の浅い傷。これで仕上げ研ぎの時に楽な条件を作ります。
- 研ぎ始めは硬いと感じて力が入りがち、それが間違いの元です。力を入れるとハイスの硬く厚い返りが出ます。 こうなると仕上げ研ぎで返りが外れませんから、力を抜いて研いで極わずかな返りを作ります。
- 鎬面は透き取りが入っていますので研ぎに時間は要しませんし力も要りません、短時間で返りがでますし丸刃になりません。
- 仕上げ研ぎはナニワのスーパー砥石#10000にWA#10000を振りかけて研ぎます。この組み合わせが一番早くハイス鉋を研ぎ上げる組み合わせです。
この時は少し力を入れてかまいませんが、この砥石は軟らかいので、砥石に刃が突っ込んでしまうかもしれません。
- そんな時は刃を横に向けて裏押しと同じ方向で研ぎます。返りが取れれば裏を研ぐ必要はありません。刃返りが研ぎで取れれば必ず切れます。 ハイス鉋の研ぎにはWA#10000の粉末を多めに使います。
- それと、使う砥石は必ず砥石面の平面を出しておいて、絶対に凹んだ砥石は使わないで下さい。平面修正にはアトマ中目がお勧めです。修正した砥石面は必ず荒れていますので、同じ位の粒度の砥石で擦って、荒れた面の筋を消しておいてください。
- 一般的な鉋も同じ研ぎで杉のシラタも切れるはずです。
研ぎに使った砥石
- 最初の機械研ぎはグラインダーを使用。マキタGB801を私は使っています。角度冶具は自作
- 発熱防止にダイヤブリックを使用
- 中研ぎは、刃の黒幕#2000
- 仕上げ研ぎは、ナニワスーパー砥石#10000とWA#10000の粉末の組み合わせ
- 砥石面の平面修正にアトマ中目
- 裏の仕上げ研ぎにナニワ焼結ダイヤ砥石#1000、#3000、#6000
- 砥石面の修正で荒れて筋の立った面を整えるのに、天然名倉など 、人造砥石でも良い
ハイス鋼の研ぎをグラインダーで時間短縮
- ハイス鋼には2つの特徴があります、1つは硬く粘り強い事、2つめに焼き戻し温度が高いため熱に強いと言う事です。
- 焼き戻り温度が高いためにグラインダーで削る時、一般的な鉋の鋼材よりも熱くなっても焼き戻り温度を超えにくく、グラインダーで削りやすいのです。
- この事で刃が欠けても下研ぎはグラインダーを使って早く効率的に削ることができます。
- ただ、過信は禁物でハイス鉋と言えども赤くなるような高温は厳禁です。
- やはり水を用意し冷やしながら切削する事が安全で 刃先2mm手前でやめます。
- 削る前にはグラインダー砥石表面に目詰まりした金属をダイヤモンドブリックで削り取り、ハイス鉋との摩擦で生じる発熱を低減します。 こうすると焼き戻りが起こる温度以下を維持しやすくハイス鉋を削りやすくなります。
- グラインダーでの削り方は、手押し鉋盤や超仕上げ鉋盤の刃を研ぐ時の削り方と同じ方法なのです。