毛引
毛引は基準面から平行に加工線を罫書く(けがく)大工道具で、先端の毛引刃により、何よりも正確な線を印し、鋸の線や鑿を入れる線を正確に引きます。
建具氏、指物氏はいくつもの毛引きを使い分けます、正確な作業を行う方には数種類使い分けます。
木工作業では同じ数値で罫書く事も多く、何度も竿を動かすとその誤差が広がっていきます。基本となる筋は毛引きを最初に決めて、動かさずに置きます、そのためにも数本あると便利、最低竿毛引を1本は揃えます。
毛引も刃物ですので刃先は砥ぎます。鉋と同じく台があり台は反りますので台面はスクレイパーや立ち鉋で平面を調整します。定規面を直していない面は定規を当てると凹んでいることが分かります。
現在良い毛引を作れる職人が少なくなっていますが、当店では作りの良い品物を集めて販売しております。在庫が切れた場合、入荷が難しい品物もあります。
竿毛引(さおけひき)
まず揃えるのは竿毛引で、数本を用意し印す位置ごとに使い分けます。竿は反対側を加工して鉛筆を取り付ける事もできます。竿が加工材から浮かずに引けますので安定します。
白樫製、毛引刃1本 焼きの入った炭素鋼で本刃付き(梅心子作) 基本的な毛引です、まずはこの1本
竿毛引きに使用する刃だけの販売、上記の品に使用されています。
- 右用刃 600円 在庫有
- 左用刃 850円 在庫有
ベニヤ板の切り離
- 筋毛引きは他の大工道具としての便利な使い方としてベニヤ板も切り離せます。
- 2.5mmのベニヤ板なら両側から筋を入れると切り離せます。4mmのベニヤ板は切れない場合は鋸を入れるかカッターを入れてます。
優美堂、鎌毛引
優美堂は、鉋台でも有名ななしや製、隅々まで綺麗な仕上がりで、加工精度を約束してくれる。サイズの数値は竿の長さ。
刃は一本でも使用可能、刃は二本とも完全に台に沈めて収納事が可能。
刃は焼きの入った炭素鋼 本刃付き(梅心子作) 刃には裏透きも入っています、砥石で軽く裏押しして、研ぎ上げて下さい。
- 150mm 右 4200円 在庫有
- 150mm 左 4620円 在庫有
磨耗しやすい部分に赤樫を埋めてあります、機能的には上記の白樫製と同じ使い方が出来ます。
サイズ大 竿長150mm
上記の品から定規となる面が下に伸びていますので作業が更に安定するところが利点です。
- 幅広、大 右 6900円 在庫有
- 幅広 大 左 7300円 在庫有
小は、上記と同じように定規となる面が下に伸びています、上記より、台の長さと竿の長さが短くなり、全体的にコンパクト。
- 幅広 小 右 6700円 入荷待
- 幅広 小 左 6600円 在庫有
(かまけひきようしんちゅうねじ)優美堂鎌毛引のオプション、真鋳は柔らかくネジの先が毛引竿に密着しやすく、締め込んだ時の刃の動きが減ります。
二本同時に使うには刃の先端の高さを揃えましょう、刃裏を研いでから、高い方を研ぎ減らして高さを揃えましょう。
割毛引
筋を入れる言もできますが、名前の通り薄い板を割る事ができます。以前は建具職の方が組子を割って巾の揃った組子作りに使用。
刃の幅は15ミリで、筋を一番深く罫書線を入れる事ができる毛引。
自作する方は梅心子(ばいしんし)作、割り毛引刃がお勧め。刃の幅は15ミリ、鋼と地金を合わせた品
松井精密、鎌毛引
- 松井精密(まついせいみつ)二丁鎌毛引は精密研磨の錆びないステンレス製、竿止めにシンチュウの削り出しネジ。先端刃は青紙スーパー製。
- サイズの数値は竿の長さです。
- 刃は一本でも使用可能、刃は二本とも完全に台に沈めて収納事が可能。
- 刃は先端が直角に曲がっています、入り隅の罫書きに適します。
松井精密製のノギスが埋め込まれ、図面からの数値を正確に罫書けます、ゼロ調整機能付
- 100mm 入荷未定
- 150mm 入荷未定
- 寸目3寸 入荷未定
マグネットの効果で二本の刃の位置を決めやすい。黒檀張で金四郎に代わる精度が有る。
- 小100mm 入荷未定
- 大150mm 入荷未定
- 大150mm 巾広 入荷未定
刃と刃の間を固定したまま、台からの距離が自由に変えられる優れた性能。マグネット入りより更に使いやすい。最小巾5.5mmのホゾ巾まで使用できます。
金四郎鎌毛引
- 平成25年現在廃業なさいましたので入荷できません。高精度の鎌毛引をお買い求めの場合は、松井精密ダブルロック式鎌毛引をお勧めいたします、ダブルロックの方も金四郎と同等に高精度です。
- 国内の毛引き作りでは一番手丁寧な仕事をするのが金四郎でした。 金四郎はその他の大工道具も作る職人でもありました。
- 刃の研ぎ、裏押しなども終わらせて、直ぐに使える状態になっています。その分手間がかかっており価格が高くなっています。
- ネジの部分は削り出しの真鍮製で高級感があります。 白樫の本体に減りやすい部分は赤樫を使用、毛引刃は2本下記の左画像は一本竿毛引きで比較のため置いてみました。
鎌毛引刃の研ぎ方
鎌毛引は刃の部分が長く、そして曲がっているために研ぎにくいと思います。その部分を上手く研ぎあげるには、できるだけ一定に角度を保つかと、金属製の竿の振れをなくすことだと思います。上記の事を完全になくす事は難しいですが、何度も研ぎを重ねると鎌毛引きの研ぎも上手くなると思います。
砥石が硬く研磨力があり、ガタガタと突っ張らない砥石が良いでしょう。突っ張るようなら同じ粒度の研磨剤をまいて滑りを良くします。
角度を保つ
- 画像は外刃を研いでいるところです、角度を保つには砥石と下の台の部分を平衡にして、角度が決まったところに毛引きの竿があたるようにして角度を保ちます。
- 砥石面の刃が当たる部分が一定の位置なら面が綺麗にあたるはずです。左手はこの状態で適当な位置に乗せて研ぎます。
- 一番下の台の角が上手く滑らないと竿が引っかかって上手く研げませんので、金属製の台や、台に紙製のガムテープなどを貼って滑りを良くします。慣れれば指で角度を保ち研ぎます。
- 同じ位置で研ぎますので、砥石が一か所だけ凹むことになりますので注意してください。
竿の振れをなくす
- 私の場合鎌毛引の内刃は画像のようにして研いでいます。角度を完全に決めるのは難しく正直に言って少し丸刃になっています、まあ使うには支障はなく刃先の角度が決まれば切れますのでそれで良いと思います。
- 竿が高く立っていますので、この振れをなくして研ぐ事は難しいと思います。振れをなくすには押し研ぎだけの一方通行の研ぎが良いでしょう。
- ただ、研ぎの時間はかかりますね。研ぎの時間を少なくするには、焼結ダイヤモンド砥石#800などを使います。