鉋には通常裏透きがあり、凹んだ裏透きの先端と刃先の先端の間の平面(糸裏)が無くなると裏切れと言い、裏切れ状態は凹みの部分は刃先がカーブに研げてしまい刃先を直線に研ぎ上げる事が出来なくなります。
又、裏透き部分は粗いので研いでも鋭利な刃先に研ぐ事は出来ず、結果的に削れない状態に陥ります。
そこで鉋の鎬面から叩いて裏透き側を膨らませ、その部分を研ぎ出し、再度平面部分を作り出し、刃先を真っ直ぐ鋭利な刃に研げるように再生するのが裏押しです。
4つに分かれる裏押しの工程鉋の裏押しにとって、一番難しい部分です、割れる事を嫌って、叩き出しをせずに研ぎだけで裏押しをすると、直ぐにベタ裏になりますし。作業は、叩いて出た部分を確認し、出ていない部分だけを叩いて出し無駄に叩きません。勘を頼りに叩いて、次に研ぎ出して完了ではありません。
叩き出しが均等にできたようなら本格的に鉋の裏を押して、刃先の裏を研ぎだして作ります。方法は二つで、伝統的に伝えられる金盤を使った方法と、砥石を金盤代わりに使う方法です。
金盤には研磨力はありませんので研磨剤を合わせて使います、お好みやコストを考え選んで鉋の裏押しを行ってください。
この方法は昔から伝えられる鉋の裏押しの方法で本や他のサイトでも紹介されていますが、私が見た感じではその中に説明不足だなと思う点などもありますので、ここでは丁寧に説明したいと思います。
あまり安価な物は平面精度が悪くあまりお勧めしません、鉋の裏は平面にしなければならないのです。また、四隅に足が付いているものは完全に足を埋め込まないで使うと金盤の真ん中が凹んでしまいますのでこれもいけません。上から押さえる力が強いとどうしても凹んでしまいますので、適度な厚みが金盤には必要です。
鉋を裏押しすると金盤はだんだん凹んでいきます、そのため適当な時期に金盤は平面修正を行います。その速度は砥石などよりはるかに少ないので頻繁に修正をする必要はありませんが、鉋の裏押しを終わらせた後に鉋の裏押しした部分に歪みがあり、金盤にも凹みが顕著に見られる場合は修正を行います。修正は私はダイヤモンド砥石や回転型の水平丸砥石を使いますが、なれないと難しいので、その場合は、メーカーに平面修正に出すか(当方にご相談下さい)、買い替えをお勧めいたします。
直ぐ使い鉋で有名な安兵衛さんは、ヤスリを使い金盤を平面修正しているとおっしゃっていました、お尋ねした時に見せて頂いた金盤は長年使用して修正したため半分になっていましたが、平面を保っていました。残りの厚みがまだ3センチはあったように覚えています、一般的にはヤスリでの修正は難しいでしょうね。
金盤での裏押しに欠かせないのが研磨剤です、砥石と違い金盤にはそのままでは研磨力がなく、それを補うために研磨剤を合わせて鉋の裏押しに使います。
伝統的に使われている研磨剤が金剛砂です。現在は金剛砂のように粗い研磨剤ではなく、GC#1000などを使う方が多くなっています。
金剛砂はかなり粗い研磨剤なので裏押しの時は完全に砕けるまで充分に裏押しする必要があります。そうしないと鉋の裏には深い傷が残ったままになります。そして粗い粒子は金盤に傷が付きやすく、GC#1000より傷が付きやすいと言えます。
GC#1000は、粒度#1000番の研磨剤で薄い緑色の粉です、中砥石と同じぐらいの粗さがありますから中砥石で研いだぐらいの傷だと思ってください。これも裏押しで擦るにつれて傷は浅くなっていきます。金盤にも鉋の裏にも傷は深くは残りません。どちらの研磨剤も安価な品物です。
裏押しをする時には、鉋の上から研ぐ時以上の力をかけます、力をかける位置を刃先近くに持っていきますので鉋を手で押さえる代わりに、押さえるための30センチ程度の手で握れる角材を用意しこれで押さ鉋を固定します。ただこの棒は刃と棒の摩擦より、刃と金盤の摩擦が大きく前後に擦っている途中でどうしてもずれやすく、上手くいかない時があります。
そんな時に使用するのがウラ研器です。これは器の棒の部分が金属の棒になっており、その中心に鉋を固定できるようになっていますので、鉋を固定する事を考えずに裏を押すことができる便利な道具です。刃先の一番裏押ししたい部分に力をかける事ができますので、ぜひご用意頂きたいと思います。
錆びた状態の金盤は粗砥石などで水をつけて擦って錆を落としておきます。金盤は最初水分を良く取っておき乾いた状態にしておきます。全体が濡れていると鉋を往復させるとその上にある研磨剤が拡散して金盤の縁の方まで広がります、そうすると鉋の脚の部分まで減って行くのです。
脚とは鉋刃の裏透き側の横の部分で、裏好きの無い細い平面のある部分です。この脚の部分が減ってしまうと、鉋の出し入れが緩くなります。緩くなると木を削った時に波打つように削れてしまったり、最悪削っているうちに刃が緩んでしまったりします。
しかし、乾いたままで研磨剤を使う事はできません。水を使うと研磨剤が広がりますそれを避けるために、粘性のある液体を使います、率直に言うと唾なのです、先人の知恵と言いますか、唾と研磨剤を金盤の中央におきますと、鉋の刃先部分が主に下りて、脚の部分は粘性があるために研磨剤が広がりませんので、脚が減らないのです、これでよく言う、鉋のべた裏や瓢箪裏を防ぐことができます。
たたき出す強さ鉋刃裏の叩き出し、釘の頭つぶし、鋸のあさり出しなど、大工道具の調整には必ず使う金床です。この製品のように端が丸くなっていないと、鉋の刃を割ってしまいます。
表面は各種調整に使えるように面取りの種類が変えられています。
鉋刃裏の叩き出し、釘の頭つぶし、鋸のあさり出しなど、大工道具の調整には必ず使う金床です。この製品のように端が丸くなっていないと、鉋の刃を割ってしまいます。表面は各種調整に使えるように面取りの種類が変えられています。
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店主は建具職人歴12年修行し独立して 無垢の家具製作と大工道具の販売の 二足のワラジを履いて25年以上になります。 長崎県佐世保市に実店舗を構え、ご来店の際には商品を手に取ってお買い求めできるようにしております。
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